『病院物語』を読んで



 私が著者の西沢孝洋氏に会ったのは、1年振りの7月の同期会の席だった。氏の近況報告で、6月に退職された事、ここ2〜3年間取組んだ本が脱稿した事などを酒席で披露された。それから暫くして贈呈を受けたのが本日ご紹介する「病院物語」である。想像するに在勤中見聞された二つの病院の歴史を辿り、今日存在している意義を誰かに伝えねばと熱い氏のエネルギーを感ぜずにはおれない。或いは混沌とする医療行政に警告と叱咤激励を送られたのかも知れない。
 聖路加病院はともかく、長野県の臼田町(現在:佐久市)にこんな大病院がと驚愕し、知らず知らずに其の歴史の慟哭に引き込まれたのである。長野県の県民性、或いは疎開と言う時代背景はあるであろうが、今から65年前の昭和20年3月6日の夕刻、臼田駅の底冷えのするホームにその医師、若月俊一は降り立った。東大病院分院から(中略)派遣されてきた34歳の外科医である。この若月青年医師が展開する「農村医療」「公衆衛生」「究極の救命医療」の物語である。
 同期生による著作としてではなく、久し振りに感動した病院の物語で、是非一読をお奨めしたい。
(第9回卒:森永)

【著者紹介】
西沢孝洋
1944年、北海道佐呂間町生まれ。
1968年、高崎経済大学卒業。
1979年〜2005年、日本病院会勤務。
2005年〜2010年5月、日本病院共済会取締役。